名義貸しをした者の責任

会社設立時に名義貸しをした者の責任

会社設立にあたり、発起人は定款を作成する必要があります。発起設立または募集設立何れの場合であっても、会社設立の最初の手続は定款の作成です。定款は書面または電磁的記録をもって作成することができます。このような法の規定から、発起人とは定款を書面をもって作成した場合にはそれに署名または記名押印した者を、電磁的記録をもって作成した場合には署名または記名押印に代わる措置として法務省令に定めるものをした者をいいます。では、会社設立にあたって名義貸しが行われた場合、どのように扱われるのでしょうか。
会社設立を全面的に企画し、尽力した場合であっても、定款に署名押印しない者は発起人ではなく、疑似発起人として責任を負う可能性があるにすぎません。形式的な基準により発起人が決定される結果、実質的には名義貸しがなされているような場合であっても、扱いは同じとなります。すなわち、出資義務の履行が第三者によってなされた場合、それは民法上の第三者弁済に過ぎず、その第三者が発起人となるわけではありません。名義貸しを安易に引き受けると、発起人として会社設立にあたっての各種の責任を将来的に負う可能性があります。
名義貸しにより発起人になった者は、会社設立についてその任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、会社に対して連帯して損害賠償責任を負います。発起人は設立中の会社の業務執行機関として設立事務処理につき善管注意義務を負い、任務懈怠の場合に民法上債務不履行責任を負うのは当然ですが、その責任は総株主の同意がなければ免責されません。
また、発起人はその職務を行うについて悪意または重大な過失によって会社以外の第三者に損害を生じさせたときには、当該第三者に対しても連帯して損害賠償責任を負います。例えば、払込未了の設立時発行株式があるのに発起人が悪意または重過失で会社設立させ、設立無効となった場合に被ることになる会社債権者の損害等が賠償の対象となります。
そして、発起人は現物出資及び財産引受の目的財産の会社成立時における価額が定款に定めた価額に著しく不足する場合、会社に対して連帯して当該不足額を支払う義務を負います。
このように、発起人は定款への署名押印または法務省令で定める方法をした場合に形式的に決定され、名義貸しがなされた場合であっても発起人としての責任を負います。親族や友人から依頼されて名義貸しをするような場合には、会社設立の重大な任務を負うことに注意する必要があります。